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2013/01/01 まこっちゃんのゴルフの本棚

第42巻 されどゴルフ 夏坂健著 幻冬舎文庫刊

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第42巻 されどゴルフ 夏坂健著 幻冬舎文庫刊

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されどゴルフ

「最北端はノースバレーカントリークラブ。最東端は根室ゴルフクラブです。」
「え?」戸惑う僕(まこっちゃん)に冷えた缶ビールを渡しながら、彼女が言った。
「最南端と最西端に行って、最北端と最東端に行かないなんて、世界のバランスが狂ってしまうわ。だから、あなたはそこへ行かなくてはいけないのよ。」

呆然としている僕(まこっちゃん)に綺麗な耳をしたCAが言った。
「そしてまた、スイングを巡る冒険がはじまるのよ。

覚えていらっしゃいますか?第38巻「羊を巡る冒険(下)」のラストです。私のスイングのバランスが狂っても、大したことではないのですが、世界のバランスが狂ってしまうと大変なことになってしまうので、仕方なく、行って参りました。

根室ゴルフクラブ。

今回ご紹介します「されどゴルフ」は、週刊ゴルフダイジェストに連載されていたものを、二見書房から単行本「ゴルフの虫がまた騒ぐ」として刊行されたものに加筆訂正し新たに十篇を加えて出版されたもののようです。ですから既にこのゴルフの本棚でご紹介した「夏坂健セレクションシリーズⅠ~Ⅴ」(本棚の第6,8,10,12,16巻)に重複して収録されているものも数多くあります。

それにしても夏坂健さんのエッセイは、いつ読んでもどこから読んでも、そして何度読んでも面白い。この「されどゴルフ」にも以前ご紹介したベトコンの捕虜になった6年3カ月の間、独房の中で空想のラウンドをし、発狂を免れる「わが心のホームコース」や、アル・カポネのゴルフを描いた「幻の、『シカゴ暗黒街カントリークラブ』」。さらには「ジョン・ウェインは、なぜボールを打たなかったか」など、どれもが名作。

その中の一編に「『根室ゴルフクラブ』に、ようこそ!」の一編があります。(夏坂健セレクションシリーズⅠ「わが心のホームコース」にも収録)

「常日ごろ、私たちは、なんと恵まれたライの上で遊んでいることか、全英オープンの開催コースを見るにつけ、「あそこのグリーンは悪い」とか、「ラフがきつくて参った」などと言い訳ばかりしている当節ゴルファーの脆弱さが、なんとも情けない。」ではじまるこの一編は、北海道の根室に住む夏坂氏の友人から「うちの近くに、写真で見るスコットランドのゴルフ場によく似たのがあるんだ。」という情報で根室を訪ね、「さながらセントアンドリュースのリンクスを彷彿させる」とあります。

これは行かねばなるまい。ミュアフィールドで戦う松山君をテレビで観ながら心に誓うと、全英OPが終わった翌週に羽田から飛行機に飛び乗りました。

熱帯の様なうだる暑さの東京から1時間40分。気温15度の根室中標津空港に降り立ちます。ちなみに羽田から根室中標津のノンストップ便は、全日空が1205発1345着の1日1便だけを運行しています。ANA837便の窓から観る景色は既にスコットランド。どこまでも続く草原に、ぽつぽつと背の高い建物はビルではなくサイロ。人の数より家畜の数の方が多いことが予想されます。

羽田から半袖で到着しましたが、すぐさま長袖のセーターを着込みます。レンタカーをピックアップし、いざ、80キロ離れた根室へ!とカーナビを見ますと、レンタカーの営業所のすぐ横に「知床ゴルフクラブなかしべつコース」の表示が。どうせ、今日は根室でやることも無いし、ちょいと様子を覗きに行ってみると「今からでもラウンドできますよ。」という可愛いフロントの道産子娘。ぽっちゃり王子の嫁に推薦したい。聞けば、根室GCは日本最東端だが9ホールなので、18ホールのゴルフ場では、この知床GCなかしべつCが日本最東端とのこと。「ハーフなら2500円。ラウンドは4000円」です。というこれまたリーズナブルな値段。しかし、既に午後2時半。今からラウンドしたら日が暮れてしまわないか?と尋ねると、「大丈夫だと思いますが、それならとりあえず、ハーフ回って、大丈夫そうなら、追加で1500円払ってラウンドに変えますか?」と優しいお言葉。ぽっちゃり王子の嫁にはもったいないので推薦取り消し。

広々した敷地の割にはブラインドホールが多く、トリッキーな印象は拭えないが、フェアウェイ全面カート乗り入れで、洋芝、その割にはメインテナンスが行きとどいており、快適なラウンド。特に微妙なアンジュレーションのグリーンが面白さを増します。1ラウンド回って6時に終了。日没にもならずに快適なラウンドの御礼を道産子娘に言おうとフロントに行けば、お目当ての彼女は既におらず、コース管理の人と思われるヒグマの様な男性スタッフが出て来たので、慌てて根室へ出発。1時間ほどのドライブで根室のホテルへ到着し、海鮮山盛りの夕食に北海道クラシックビールであっという間に根室の夜は更けます。

翌日はいよいよ根室ゴルフクラブです。

ホテルで朝食を摂り、車で10分ほどで根室ゴルフクラブに到着です。8時30分のスタート予約に7時50分頃到着しますと、「お待ちしておりました。準備ができましたら、いつでもスタートOKです。」とのお言葉。どうやら平日のため午前中の予約は我々だけらしい。

「すみません。8時からNHKで『あまちゃん』観たら、スタートします。」と言うと、ニッコリ笑って食堂に案内されました。クラブハウスから道路を挟んでコースが一望できる食堂は、確かにスコットランドのリンクスコース。特に昨年行った400周年を迎えたモントローズGLのようです。


さて相変わらず「あまちゃん」は大変な展開でしたが、いよいよ根室GCをスタート。

クラブハウスから道路を渡り、1番ティへ。1番は352y(347カッコ内はフロント)PAR4。右手はOB。左はどこまでもOKな平坦なホール。250y先にある目印の小さな木と右サイドのバンカーの間のフェアウェイがベストポジション。スタートで右にOB打つのは嫌なので、左目に目印の小木へ打ちます。

この1番ホールの平坦で右はOB左はどこまでもOKというセッティングは確かにセントアンドリュースオールドCの1番ホールと同じです。もっともオールドコースは200y付近に小川が流れていますが、「出だしは、初心者にも簡単に。船が港を出て行くように静かにスタートする。」という思想が反映されているようです。


2番は、319y(309)PAR4。短いPAR4です。ここも右OB。左はセーフですが、150ヤードから先の左側が窪地に向かって傾斜しており、OBが待ち構えています。左に200y以上打つと転がってOBまで行ってしまうので、190yまで。短いながらも、窪地をうまく使い、小さなグリーンを奥にセッティングして難易度をあげています。距離を出すとつま先上がりの傾斜がきつくなり、セカンドを左にひっかけやすく、手前の平らなところに置くと距離が150y以上残る。ドライバーで右のバンカーを越えて、右OBすれにすれに打つのがベストでしょうが、そこまでの勝負をここでするのは無謀でしょう。ユーティリティなどで軽く打って、セカンド勝負のホールでしょうか。


3番は142y(135)PAR3。ティの前に鬱蒼とした谷が広がる打ち上げのPAR3ですが、谷の幅は50y程度しかありません。

4番は433y(428)PAR4。ティから打ち上げでタフなPAR4です。ティの右手にOBゾーンが張り出しており、左のネットの先には2番の窪地があってここもOB。もっとも右手のOBゾーンは150yちょっとあれば越えそうなので、ドライバーがスライスしても、そうそうOBには行かないでしょう。とはいえ、ここまでの3ホールと違い、距離もあり、ぐっと難易度も高まって、「いよいよ」だな。と心を引き締めてかかるホールです。

5番は、382y(377)PAR4。右サイドの200y先に4番ティから右に張り出しているOBゾーンがありますが、それ以外はペナルティもなく伸び伸びと打てるホールです。軽い右ドッグレッグで、セカンドからグリーンは、下って上るので、距離感が難しいです。

 根室GCは、1960年開業。北海道で5番目に古いコースです。設計は丸毛信勝氏。川奈や古賀といった伝統あるシーサイドコースの設計・改修・造成に携わった方です。ドイツに留学した農学博士で、「昆虫博士」「芝草博士」の異名をとったかたです。日本のゴルフ設計者というと井上誠一氏が有名ですが、戦後にブルドーザーを使って、なだらかな曲線美のコースを多く作った井上氏のコースは、「造られた美しさ」を感じさせるのに対し、丸毛氏や赤星兄弟の設計コースは、自然のままの地形を生かして、機械の使用は最小限な「手造りの楽しさ」を感じさせるように思います。ここ根室GCのフェアウェイも波の様な細かいアンジュレーションがあるのですが、もともと畠だった場所にゴルフ場を造る時、近くにあった缶詰工場の女工さんたちが動員されたそうで、その時に畠の畝を平らに均しきれず、波の様なアンジュレーションが残ったそうです。私のホームコースNカントリーも丸毛氏の設計です。最初にプレイした時は、「イージーなゴルフ場だな。」と思ったのですが、やればやるほど難しい。根室GCも同じように「メンバーの方は、やればやるほど難しいと言われます。」とこの日のキャディさんも言ってました。


6番265y(260)PAR4。軽い打ち上げの短いPAR4です。ティから右側を7番ホールが走っており、杭を越えるとワンぺナです。左側に5番ホールがあるので、ティの左にもネットがありますが、右にスライスさえ打たなければ、グリーンそばまで飛ばすことができるチャンスホールです。

7番は587y(582)の距離の長いPAR5。右に6番ホール、左に9番ホールがあるため、それぞれ杭を越えるとワンぺナになります。もっともかなり幅があるので、そうそうワンぺナを越えることは少ないと思いますが、根室半島は霧の名所でもあり、霧の中で方向感覚が無い状態でドライバーショットを放つと、悉くワンぺナになることを体感しました。

セカンド地点からは、打ち下ろしの緩やかな弓型の左ドッグレッグ。この弓型が、グリーンの先に見える海岸線の弓型と同じ弧を描いており、美しいホールです。「リンクス」と言っても、毎ホール海を見せるのではなく、「ここぞ!」と言う場所で一番美しい海を見せる。というコース設計の妙を感じさせます。

距離がある中で、左のワンぺナを嫌がり右に逃げると残り100~170yに大きな窪地が右側にあり、OBへ誘います。OBまで行かずとも窪地は深く、第3打をブラインドで打ち上げていく難易度の高いショットが必要になります。

美しさの中に勇気を試される良い女のようなホールです。

根室GCのシグネチャーホールと言えるのではないでしょうか。


8番は179y(174)のPAR3。強烈な打ち上げです。8番ティから9番グリーンまで右側を納沙布岬までの公道が走っています。もっとも茫々たるラフがOBゾーンに広がっており、道路にボールが出ることは無さそうです。

夏坂氏の「『根室ゴルフクラブ』に、ようこそ!」には、このホールで流しのヴァイオリン弾きとサックス吹きが新曲の練習をしていた。とあります。クラブハウスからは一番遠く、公道に近いので、練習に持って来いの場所でしょう。もっとも既にそんな流しのヴァイオリン弾きが居るはずもなく、海から吹きつける風の中で、時折、道路を通る車の音が聞こえるだけです。
 9番は、570y(565)PAR5。右OB、左が7番ホールのワンぺナに挟まれたタフなパー5です。ここだけ2グリーンで、9番グリーンが左手。18番グリーンが右手にあります。根室GCは9ホールなので、2回回って、最終ホールだけ別れるシステムです。

夏坂氏の著作には、「ラフは深く、雪の被害が残るフェアウェイには、裸地(ベアグラウンド)も少なくない」との記述もありますが、訪れた7月下旬のコースは、ご覧の様に一面の緑。キャディさんの運転する乗用カートでのラウンドでしたが、メインテナンスは行きとどいており、逆にスコットランドのコースっぽさが失われているのではないか?とさえ思えました。ラフを2段階に設定し、深いラフをもう少し深くしておけば、リンクスコースの味わいが深くなるのではないか?とも思えます。近年、アメリカではオレゴン州の「バンドン・デューンズ」や今年、全米女子オープンが開催されたニューヨーク州の「セボナックGC」など、「リンクス」に適した場所を捜し出し、新たなリンクスコースが作られています。

9ホールしかないと、「ショートコースか」と言う人もいるかもしれませんし、途中の平らなホールを、「なんだこれは?」と言う人もいるでしょう。しかし、その設計思想はリンクスコースそのものですし、やればやるほど難しいコースです。

「日本最東端のゴルフ場、だけど9ホール」というポジショニングではなく、もっとリンクスコースの設計思想を前面に出して、「日本最高のゴルフリンクス」に生まれ変われる可能性もあるなぁ。と思えるコースでした。できれば、「バンドン・デューンズ」のようにホール数を増やして、ホテルを建てて、夏の避暑地にして欲しいところです。

さて、スコアの方は、前半の9ホールは、勝手がわからず46。しかし、後半は、パーを積み重ね、6番でバーディ。7番もパーで8番まで1アンダー。

迎えた8番のPAR3のティーショットが、まさかの右OBで6。

9番もティーショットを左のワンぺナに。3打目がチョロ。4打目を残り150ヤード地点で第5打。やっとピン奥5メートルに乗せてねじ込み39。

晴れていたコースが、突然、にじんだのは、私の涙か、霧雨か。

でもね、私は確かに聞いたんですよ。8番のティーショットを打つ時に、物哀しいヴァイオリンとトランペットの調べを。


http://www.kagayagolf.com/hondana/book042.html

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